2013年7月アーカイブ

過日、バンコクから一緒に来日した米国からの友人病理医(ちなみに極めて高名)A氏が、私と一緒の講習会で講演し、いよいよ米国への帰国の前日となった。

 

講習会の主催者による食事会に行くべく皆で待機しているところに、Aが困り顔で現れた。

ただ事ではないと察した私は、「どうした?」と聞いたところ「パスポートが見当たらない」と言う。ホテルの部屋でなくしたらしいとの事。

  パスポート.jpg

生憎、翌日帰国の日は、日本では祝日で米国大使館も休みでパスポート業務はしないとの事であった。ホテルで、二人でしつっこく粘ったが、どうしても出てこなかった。

 

 

羽田からホテルへのタクシーの可能性もあると思いその方策に思いを巡らせた。タクシーの支払い領収書が保管してあったので、タクシー会社に電話をした。領収書には、車番が書いてあり、特定できるようになっていたのが幸いした。 

 

 

タクシー領収書.jpgのサムネール画像

 

 

 

ホテルでも見つからず、警察に紛失届を出しに行く途中で、タクシー会社から私の携帯電話が鳴り、「パスポートがありそうです」とのこと。

所持者の名前を確認したところA氏だという。 、、、ほっとした。

 

 

 

 

 

 

その後が感激であった。

タクシー会社から運転手さんに連絡が入り、もう夜半の12時近くなっていたが、ホテルまですぐ届けてくれるという。片道のタクシー料金は払ったものの、金銭には替えられない好意に甘えることとなった。

夜半の12時半ころ、ホテルフロントのKさんから私とA氏のところに連絡が入り、ロビーまで降りたところ、A氏がパスポートを手にして、安堵して立っていた。

A氏と私から、タクシーの運転手さん、ホテルのKさんにお礼を述べて、部屋へ戻った。

A氏は「こんなことは米国では絶渓おきない。日本人の気持ちはと実行力は素晴らしー!」とべた褒めであった。

私も、今回のタクシー会社とホテルの素晴らしい連携プレーなど皆さんへお伝えしたい。

日本人の気質はかわっていない。

我々の大きな誇りである!!

 

APSMI2013HP.png

53回国際病理アカデミータイ支部・第8回アジア太平洋分子病理免疫組織学会合同総会

710日から12日まで表記の学会にてバンコクに滞在した。

今回は、タイIAP総会とAPSMIの合同開催である。

APSMI (Asia Pacific Society for Molecular Immunohistology)では 、私も創立者一人として2回講演をした。

The 53th IAP Thailand and the 8th APSMI Annual Meeting プログラム.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 APSMIIAPの会長は、日本にも何度も来訪している親日家のDr. Pongsak Wannakrairotである。   会長 Pongsak Wannakrairot 右プログラム委員長Monchanok Suwichanworasin.jpg

 

 

 

 

 

  

 

左:会長

Pongsak Wannakrairot

右:プログラム委員長Monchanok Suwichanworasin

  

 

 

体として、150名程の出席者であったが、若い病理医の出席が印象的であった。

私は、Molecular Pathologyのセッションで講演した。同じセッションで講演したタイの若手病理医が遺伝子解析の基礎を詳しく話したが、その内容の新しさ、まとめ方のうまさに、感銘を受けた。経済的な背景は不明であるが、この領域ではかなり進んでいることが分かった。わが国の病理医も、総合してこの領域の実践につき研鑽する必要があると思われた。

 

Allen Gwon  Anthony Leong Memorial Lectur.jpg  また、11日は私の友人のAllen Gown(PhenoPath Labs, PLLC, Seattle)Anthony Leong Memorial Lecture: "Immunohistochemistry: Past, Present, and Future" を行った。

 

Tony Leong  Allen Gownのスライド.jpg

Allen Gownの最初のスライド.jpg

 

 Anthony Leongは私の永年の友人で、初めて出会ったのはHong Kongである。その頃はオーストラリアのAdelaideに在住していたが、その後シドニー近郊のNew Castleに移り、Hunter Valley Labを立ち上げ、免疫組織化学では世界的なリーダーであった。

3年程前に、祖国であるマレーシアのKL近くの病院の病理部長に戻り、まだまだ、これからの活躍が大いに期待されていた。残念ながら移住後間もなく不治の病に侵され、2011APSMIを主催して間もなくして他界した。多くの病理医かその死を悼み悲しんだのが思い出される。

 

今回のAllen GownMemorial lectureは、友人として思い入れも熱くTony(Anthonyのニックネーム)に相応しい素晴らしい内容であった。

アジアの病理医との友好関係は今後益々大切と思われる。

 

Grand Palace 王宮.jpg

Grand Palaceにて.jpg

過日、学会でサンフランシスコに3日間、4泊滞在した。サンフランシスコでは過去にJazzに関して良い思い出があるので、昼は学会出席し、夜はJazz を聞きに行った。

 

いろいろと調べて(あるいは尋ねて)以下のところへ行ってみた。

John's Grill Electric pianoでソロ演奏

Zingari  ピアノと女性ボーカル

Jazz  Bistro Le Joulins  カルテット 

BIX   ピアノと女性ボーカル

 

Jazz三昧.jpg

 

それぞれ、食事をとりながらJazzを楽しめる場所である。

静かなところ賑やかなところとさまざまであった。

Le Joulinsのカルテットは、素晴らしいハーモニーを醸し出すプレーヤーの力量が遺憾なく発揮され、大いに楽しめた。(上の写真はLe Joulinsのカルテットのメンバーと一緒に)

 

 

嬉しかったのは、大分以前になるが、サンフランシスコで親しくなったJazz singer の Lady Memphisがまだ健在でパフォーマンスしているという情報があり、Yoshi'sでわかるとの事であった。Yoshi'sもサンフランシスコでは有名はJazz Placeであり行こうと思っていたが、残念ながら公演がキャンセルになってしまい行けなかった。 

 

次回にサンフランシスコに行く機会があればLady Memphisを探してみたい。 

Jazz三昧2.jpg

6月15日から18日まで、カリフォルニア州サンフランシスコのConvention Centerで開催された米国内分泌学会ENDO2013 のシンポジウム講演の機会をいただき、3日間滞在した。

 

ENDO.jpg

私は、ENDO 2013 Symposium70 Neuroendocrine Tumors: New Tools for Diagnosis and Management の中で、"NEN or NET or NEC: The New Nomenclature of Neuroendocrine Tumors "25分間の講演をした。

膵・消化管の神経内分泌腫瘍の新WHO分類を、実例を紹介し治療への指針も示しながら提言もした。 

 

ENDO 3.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりの米国での比較的長い講演であったので、緊張したが、質問も多く(セッションが終わってからも続いた)"well accepted"の印象で安堵している。

米国内分泌学会ENDOへの出席も3年ぶり位であるが、相変わらず参加者が6000人を超すともいわれる大型の学会の一つであり、熱気も大いに感じられた。

また、演題がすべてBasic, Clinical, Basic-clinicalと位置付けられており、基礎研究の演題も多いのも特徴である。

日本からの出席者も沢山お見受けした。日本からの基礎研究者にもお目にかかれるのも嬉しく感じられた。

内分泌に携わる多くの臨床医、研究者に本学会への参加をお薦めしたい。

 

Golden Gate Bridge.jpgのサムネール画像ENDO 2.jpg

 623日(土)午後1時半から3時半まで、科学技術館にて、表記のセミナーを行った。

対象は、小学5,6年生から中学3年生までの、子供たち20名。男女は半々であった。

 

20130623 1302.JPG20130623 1334.JPG

 

  

 

20130623 1335.jpg内容は、私の専門である病理学を通して、がんを勉強して貰うように企画した。

がんはどのような病気ですか?

がん細胞を見てスケッチしてみましょう。

 正常細胞とがん細胞はどう違いますか?

がんはどのようにしておこりますか?

がんは遺伝しまか?

などの課題を一緒に考えるようにした。

 

20130623 1339.JPGまず、私がパワーポイントでがん細胞を見て貰いながら説明した。

 

20130623 1346.jpg

 

次に、参加している子供たちに実際に顕微鏡で結腸癌のプレパラートを見て観察して貰った。

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その後に、正常細胞とがん細胞をスケッチして比較してみた。

皆、その違いを良く表現することができた。

 

20130623 1440.JPG

 

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がん細胞は、どんどん増え[増殖]、まわりに入って行き[浸潤]、最後には血管に入って遠くの臓器まで飛んで行ってしまう[転移]という流れを節めした。

 

子供達から多くの質問が寄せられたが、それぞれが"的を射ており"、感動した。

また、各人が興味を持っていることも良く分かった。

 

参加者へのアンケートでは

がんが良く分かった

面白かった

また来たい

医者になりたい

病理医も面白そうだ........など 意見があり 嬉しく思っています。

 

受講生の中には、将来医師を志望している子供も複数いたが、病理学を希望する人も出てくるのではないかと期待している。

 

今回お世話になった科学技術館 坪井健司様、早武真理子様 藤原 真様に感謝致します。