おしらせの最近のブログ記事

ESP/IAPの最終日(日本時間1293:45am)に開催された閉会式において、前理事長(Past President)Dr. Dietmar Schmidtから下記のGavelおよびGold IAP Presidential Pinを引き継ぎ、理事長(President)に就任した。

 

IAP Presidentに引き継がれれGavel小槌(左)とPresidential Pin(右).jpgのサムネール画像

IAP Presidentに引き継がれるGavel小槌()Presidential Pin()


IAPの任務は、病理学の教育と研究の推進である。教育活動の主たる部分は、通常では世界中のDivisionおよび地区のAssemblyにおいて行われる。元来Face to faceの集会での意見の交換が基盤であるが、このコロナ禍の現状で、活動には工夫が必要となる。

幸い、病理画像のデジタル化が急速に普及し、ネットワークを世界に広げることにより新しい活動の活路が開かれるのではないかと期待される。

 

皆様のご支援により医学部卒業後50年の年にこのような機会をいただき大変光栄と存じます。IAPの活動においては、国内外の多くの方々にご指導・ご協力いただいております。日頃のご指導ご鞭撻に報いるため病理学のグローバルな発展に誠心誠意尽力致す所存です。引き続きよろしくご支援のほどお願い致します。

WHO内分泌腫瘍分類第4版が626日にリリースされた。

thumb_1474_default_publication.jpg

Ricardo Lloyd, Gunter Kloppel and Juan Rosaiと一緒にVolume editorを務めたこと大変光栄に思っている。昨年の4月にフランスのリヨン市において合宿形式で最終案を作成してからあっという間に1年以上が経過してしまった。チャプターとして下垂体pituitary, 甲状腺thyroid, 副甲状腺parathyroid, pancreas, 副腎皮質adrenal cortex, 副腎髄質および副腎外パラガングリアadrenal medulla and extra-adrenal paraganglia など臓器別の腫瘍の他遺伝性腫瘍症候群the inherited tumor syndromeに分かれて詳細が述べられている。

前回の出版が2004年であったので、すでに13年たっている。この間に各腫瘍についての臨床的および病理学的な知見も著しく増加した。治療も分子標的治療を含めて新たな試みがなされている。また各腫瘍の遺伝的な背景も解明され遺伝子に関する記載も著しく増加した。

このように各臓器にて新たな知見をベースにまとめられた今回のWHO分類がいち早く浸透することを願っている。

WHO HP.jpg

病理診断について

日本鋼管病院.jpgのサムネール画像

41日より、以前より非常勤で病理診断をしていた日本鋼管病院に拠点を移し、常勤病理医、病理診断科部長として、病理診断の診療業務に従事しています。

週一回の割で非常勤病理医が支援してくれていますが、責任を持って診断にあたる"手ごたえ"を感ずると同時にその責任の重さを実感しています。

日本鋼管病院の病床数は395床で、2016年の組織診断が5199件、細胞診断は、3698件でした。

病理診断は、正確さは勿論のことながら迅速性も求められます。

臨床検査技師の諸君とも力を合わせながら、これまで培ってきた技能、知識を少しでも実践に移したいと思っています。将来的な希望としては、分子病理およびデジタルパロソジーなども推進する病理診断科の実践を念頭に置きながら"生涯現役病理医"として研鑽する所存です。

 

教育活動

国際医療福祉大学大学院特任教授として、大学院の講義を担当します。

現在、大学院主催の"乃木坂スクール"が先週より始まっています。

私の所属が、医療福祉国際協力学分野で、担当が国際病理学です。

グローバルな視点から、癌、感染症、心血管障害、代謝疾患などの詳細を述べ、

受講生と一緒に、世界分布は?原因は?発見・診断は?治療は?などを述べる予定です。

WHOなど種々の資料を参考にしていますが、私自身も大変勉強になります。

9月から、修士・博士課程での講義が始まります。やはり国際的な視点から、主たる疾患についての解析を加えるつもりです。

学生諸君と一緒に グローバルな視点から見た疾患の分布・原因・診断・治療などについて、国際医療福祉大学から発信する情報を勉強して行きたいと思っています。


乃木坂スクール案内.jpg

6月23日に科学技術館にてかに座.jpg

 

来る623()に科学技術館の御協力で、病理診断を小学5-6年生20名の諸君と一緒に体験する機会を得て、"ワクワク"しています。

 

いろいろな疾患の中で、比較的子供たちにも分かり易いのは、癌Cancerだと思い、癌細胞を題材とすることにしました。ちなみにCancerとはかに座のことです。なぜでしょうか?

 

 

 

画像を見ながら、癌とは"どういう病気か?"をお話した後に、大腸の癌細胞と正常細胞を見て、観察しスケッチをしてもらうつもりです。

"正常の大腸組織と癌の組織の"見え方の違い"を分かってくれるだろうか? また、癌細胞は正常細胞に比べ、核が大きく形も不揃いなところも分かってくれるだろうか?" など気になるところです。 

結腸癌.jpg

組織の画像.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

この研究体験を通して、癌という病気を"形"で把握して貰いたいと思います。そしてそのような形をした癌細胞は、どのようにして"浸潤""転移"するのか? 治療の基本は何か? なども考えて貰うつもりです。

何よりも期待しているのは、小学生の諸君が"病理医"という医者と触れ合って、病理診断という医療行為を身近に理解してくれることです。受講生の中から将来の病理医が生まれるかもしれない!などとも思いを馳せています。

 

分子病理診断室・テレパソ室を備えた"Dream lab"への道 

 

新三田病院.jpg 213日より国際医療福祉大学三田病院は新病院がオープンした。

 

病理診断 自動化 (3).jpg 

病理診断センターは、6階に手術室と隣接しており理想的なロケーションと言える。

従来 染色など多くのステップを機械化してきているが、業務の進行具合に併せて、迅速包埋装置Xpressも活用し、One-day-pathologyも進める予定です。

 

 

 

これまで、大変狭い限られたスペースで進めてきた分子病理診断室も充分なスペースを確保して業務を拡充しつつあります。

HER2, EGFR,KRAS,KIT,BRAFなどの遺伝子診断行っています。

 

分子病理診断 (2).jpg  分子病理診断new (2).jpg  

 

  また、国際医療福祉大学・高邦会グループとして遠隔病理診断にも大変関心を示しており、"テレパソ室"も設置しています。

  テレパソ室new.jpg    テレパソ室内部 (2).jpg

 

  

  

 

 

 

 

三田病院での病理診断センターは、グループの山王病院、山王メデイカルの病理診断も担当しており、年間の検体数は、組織診断10,000件、細胞診断22,000件になり、3名の常勤病理医(長村、森、相田)および非常勤病理医で担当しています。

 

病理診断センターの見学を御希望の方は...

 

三田病院病理部(病理診断センターのホームページ)

このたびメディカル・プリンシプル社より刊行されましたドクターズマガジンに「病理医としての私」が取り上げられております。

Doctor's MAGAZINE 表紙_0001.jpg

 

私のライフストーリーとしてお読みいただければ幸いと存じます。

これを機会に更に研鑽を重ね、更に皆様のお役に立ちたいと思っております。

 

本文は 1209ドクターの肖像.pdf

「メディカル・プリンシプル社ドクターズマガジン20129月号掲載」

 

2012826日~29日に京都国際会議場で開催された第14回国際組織細胞化学会議において永年の組織化学における功績と国際的な指導力が評価されPaul Nakane Prizeを受賞した。

Paul Nakane(中根一穂)教授は、酵素抗体法の創始者であり、米国[スタンフォード大学、ミシガン大学、コロラド大学]で研究活動にて大いに業績をあげた国際的なレベルでの組織化学の発展に指導的役割を果たされた。  Paul Nakane教授と.JPG

 

1970年.JPG

  

Paul Nakane Prize2004年の第12回国際組織細胞化学会議に設定され、今回が3回目となる。

私は、1970年慶應義塾大学医学部を卒業後直ちに渡米し、コロラド大学医学部メデイカルセンターにて病理レジデントおよびリサーチフェローとしてPaul Nakane(中根一穂)教授の指導を受け、酵素抗体法を習得し、帰国後も下垂体腫瘍の研究および病理診断においてこれまで多くの業績を発表してきた。また2008年からは、国際組織細胞化学会連合IFSHCの理事長として、組織化学の国際的な発展に努めている。

中根教授から直接指導を受けて以来、早くも40年以上経過したが、今回指導者の名前を冠したPaul Nakane Prizeを受賞し無上の喜びと感じている。

 

楯に.JPG

Paul Nakane Prize楯.JPG

118日テレビ東京Digital 7 ニュースセンター "ワールド・ビジネス・サテライト(WBS)にて放映予定"

 

経済産業省と国際医療福祉大学のプロジェクトの実証実験のため、大学+企業のコンソーシアムでベトナムホーチミン市にあるチョーライ病院を訪問した。実施内容は双方バーチャルスライドでデジタル化した画像をサーバーに挙げ、双方で診断する実証実験を行った。                                           

 

  IMG_2073.JPG

画像は良好、TV会議を同時に行いReal-timeで会話しながら病理診断した。両者の一致率は良かった。チョーライ病院からは、腫瘍の良悪の判定などのコンサルテーションがなされて、三田病院で複数の病理医が鏡検し最終診断、治療方針など述べた。ベトナムから日本に対する病理診断における期待は、ハード面、ソフト面とも大きなものである。

経済産業省の医療の国際支援に貢献すべく一同協力して遂行中である。

次回は、年内に中国北京市の中国リハビリテーションセンターを訪問し、同様な実地調査を予定している。

 

IMG_1479-2.jpgのサムネール画像ベトナムは湿度が強い真夏であった。

ホーチミン市は活気が凄い。モーターバイクが街にあふれて、横断するにも一苦労であった。

ホーチミン市では、"アジアの活気"を充分に感じることが出来る。

人々は温和で一般的には親日的と思われる。

我々も、医療支援などを通して協力して行く国の一つであろう。

三田病院外観0705new.jpg

国際医療福祉大学大学院教授 

病理診断センター長

三田病院病理診断科  長村義之

 

初志に戻って「生涯現役病理医」としてその魅力を追って 

さる331日をもちまして35年間奉職いたしました東海大学医学部教授(病理診断学)を定年退職し東海大学名誉教授を拝命致しました。

 

41日から、国際医療福祉大学大学院教授 病理診断センター長として 都内の三田病院に勤務しております。 

三田病院は、来年末の落成に向けて新病院を建築中です。また、大学付属病院が関東に合計6病院あり、それぞれの地域で特徴を生かしながら、機能しています。

三田病院では、日常の病理診断を遂行すると同時にこれまで東海大学で立ち上げてきた「分子病理診断室」を設置し、活動を開始するところです。

 

私もこれまで培ってきました病理診断の技能をブラッシュアップして「生涯現役病理医」として現場の病理診断・細胞診断に役に立てるよう益々研鑽をして行く所存です。

また、2期務めさせていただきました(社)日本病理学会の理事長職も331日をもちまして任期を満了させていただくことが出来ました。皆様のご支援とご協力に心より感謝申し上げます。NPO法人日本臨床細胞学会の理事長は残りの任期役1年を誠心誠意をもって務めさせていただきますので宜しくお願い致します。

 

病理診断を取り巻く医療環境も変化してきています。今回の診療報酬改定でも、病理診断および細胞診断にかなり配慮された結果となりました。また、病理医不足も様々な角度から注目され、がん対策における病理医の役割なども具体的な施策が検討されています。

 

病院での病理診断の現場での体験を通して、私が最初に"病理学の魅力"を感じた原点に戻り、若い学生諸君、研修医諸君へ病理学の魅力"なにが素晴らしいか"を伝えて行きたいと思っています。

細胞診と日本臨床細胞学会

       特定非営利法人 日本臨床細胞学会
          理事長  長村義之(おさむらよしゆき)

日本臨床細胞学会の理事長を拝命致しました長村義之(おさむらよしゆき)でございます。
皆様は細胞診という言葉をお聞きになったり、実際に体験されたりした方も多いのではないかと拝察いたします。多くの女性を対象に行われる"スクリーニング"検査である子宮がん検診では必ず子宮頸部細胞診が行われ、子宮頸部から採取された細胞を顕微鏡で丹念にみて、異常[異型]細胞の検出がなされています。子宮頸癌の原因の主体がヒトパピローマウィルス(HPV)であることが判明してきた現在、細胞診と同時にHPVの感染(それも癌化に関連したタイプ)の検出も重視されてきています。ここで異常細胞が検出された場合、コルコスコピーを、さらには組織生検(病理専門医によって診断が行われます。日本病理学会のホームページをご覧ください)が行われます。このような、検診・スクリーニングには、他に肺癌の細胞診があり、喀痰および気管支擦過・洗浄細胞診も近年増加の一途をたどっている肺癌の検出に重要な位置づけになっています。また、近年では穿刺細胞診(FNA)といわれる診断法;"しこり"(乳腺、甲状腺、リンパ節など表面に触れるもの)に細い針を刺して、そこから細胞を採取し、顕微鏡で見て診断する方法、が普及してきました。ここでは、乳癌、甲状腺癌、がんのリンパ節転移などの"癌の確定診断"が行われ、実績を挙げてきています。その他にも、尿の細胞診(膀胱癌、前立腺癌などの検出)、胸水・腹水の細胞診(癌細胞があるかどうかを診断)などがあり"液状検体"と呼ばれています。
我が国においてこのような細胞診は、細胞診検査士と細胞診専門医の連携により行われています。検査士の方々は、膨大な量の細胞診標本を見て、その中から異常な細胞(前癌状態など)を見分ける重要なステップをになっており、その方々は細胞診の充分な修練を積んだ上で学会認定試験に合格しており、充分に信頼されています。検査士により選び出された"異常細胞"は最終的に、医師である細胞診専門医により最終判定(診断)がなされます。
現在、日本臨床細胞学会では、4,334名の医師[そのうち2,369名が学会認定専門医]、6,631名の技師(そのうち6,490名が学会認定検査士)を擁しており、がん検診および諸腫瘍疾患の診断に貢献しています。平成19年に制定されたがん対策基本法においても、検診率の向上がうたわれており、細胞診も皆様のがん予防・診断に大いに寄与しています。 
以上、日本臨床細胞学会のご紹介ですが、更に詳細をお知りになりたい方は、ホームページ http://www.jscc.or.jp/  をご覧ください。日本臨床細胞学会が更に皆様の医療に貢献出来ますよう、ご協力を宜しくお願い申し上げます。