2012年4月アーカイブ

ジェイミー・フォード著 前田一平[訳] 集英社文庫

Hotel on the Corner of Bitter and Sweet  by Jamie Ford

  "ダイナミックかつ情熱的なラブストーリー" 

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物語は、第二次世界大戦の頃1942年頃のシアトル、中国人街と日本人町が接するコーナーにパナマホテル(現存するとのこと)があり、白人ばかりの小学校にただ二人の東洋人として通学していた中国人ヘンリー・リーと日本人(実際は日本語の出来ないアメリカ人であるが)ケイコ・オカベとの40年の長きにわたるラブストーリーである。

そこに、ヘンリーと生涯の友となるジャズのストリートプレーヤー(サックス)のシェルドンが絡み、全体にジャズの素晴らしいバックグラウンドが奏でられているような気持ちよさを加えている。

物語は、二人が出会った40年後1986年に長く閉鎖されていたパナマホテルが売却され、地下室に納められていた日本人の個人所有物(戦時中敵国民として強制収容された多くの人々が残した)が明るみに出たことに端を発している。

そこで、ヘンリーは、一流プレーヤーであるオスカーホールデンとシェルドンがジャズクラブでヘンリーとケイコのために即興で演奏した"路地裏の野良猫ステップ"のレコードを探す。

1942年のラブストーリーが 1986年にジャズレコードを軸に展開するという素晴らしい発想に賛辞を送りたい。

また、前田一平氏の翻訳による日本語表現は"極めて適格"で感動的な物語を忠実に(あるいは原作以上かもしれない)再現していることにも感動を覚えた。

余り細かなストーリーを述べるのは"営業妨害"となるといけないので控えるが、とにかく全体にわたって実に感動的である。

私は、通勤中にも読書をするが、涙がとまらず困ったことも数回ではなかった。 

お進めの一冊である。

Kuwait city  Scientific Centerで見た稀有な三葉虫の化石

 

先日[2012312日-14] International Academy of Cytology(国際細胞学会IAC)tutorialの講師としてクエートのKuwait cityに滞在した。日曜日の余暇に市内のScientific Centerを見学した。

設備の良く整った水族館があり、その延長として アンモナイト、三葉虫の化石の陳列があり、その中で、以下の2種類の"変わった化石"に目を惹かれた。

  Dicranuru1.JPG

私は、見たことがなかったので、写真に撮影して帰国した。

Dicranuruという名前も初めてであった。全長2-3cm位で、見たところコーロギのような形をしている。写真を参照してください。三葉虫と関係ありそうだとの予測は持てたがそれ以上の詳細は全く不明であった。

 

 

 

WebsiteDicranuruを検索すると全く同じ写真がいきなり出てきて驚かされた。

以下はWeb情報

Dicranuruは三葉虫 英語名Trilobite = tri (三つの) + lob (葉,房) + ite () の一種であり、

古生代デボン紀(41000万年前~36700万年前)に生息したとされている。

また三葉虫には、1500属以上約1万種(0.570cm)があり、多くはモロッコ・ロシア・アメリカ産、日本でも産出。

Kuwait cityで見た化石の多くはモロッコから来たそうである。

Dicranuru2.JPG 

三葉虫は、私のこれまでの印象では(私のコレクションにもいくつかあるが)、"草履"のような形をしており、平たいものが多いと思っていた。

また、三葉虫は複眼であることも知られている。

―若手病理医への誘いー

先日のUSCAP320日―26日 Vancouver)は4000人以上の参加があり、USCAP史上最多の出席者であったと聞いている。

その他私達にとって遠きすべきは、種々のコース(long, short, specialtyなど)おおよび一般演題でも分子病理Molecular pathologyに関する発表が急速に増加していることが言えよう。

遺伝子解析を含めた分子病理Molecular pathologyの内容が多くなっていることに目を見張った。

更には、若手病理医へのこの分野でのFellowshipなども汝所に増えてきていることも素晴らしいことである(UCSF, UCLA, Cedars Sinai Medical Center, Univ. Pittsburghなど)。

USCAPの前日に毎年開催されるAssociation for the Directors of Surgical Pathology (ADASP)に出席したが、そこでもGenomic PathologyResident, Fellow教育が話題として提供され討議された。

そこでは、Training Residents in Genomics(TRIG)の資料が配布され、その内容をもとに意見交換がなされた。

  Lecture I: Genomic Pathology: An Introduction

  Lecture II: Genomic Methods

  Lecture III: Interpreting Genomic Information for Clinical Care

  Lecture IV: Genomic Medicine: Communicating with the Patients

など分かりやすく解説されている。

Intersociety Council for Pathology Information, Inc.に若手向きの情報が掲載されている。

Genomic Pathologyという用語も新たに導入され盛んに使用され始めている。

わが国でも、Genomic遺伝子病理の病理診断、予後因子、治療指針などでの重要性も認識されてきている。是非、若手病理医にも、重要性、手技などに関する情報をUpdateして提供して行く必要を切に感じる次第である。

 

実例:肺線癌におけるEGFR突然変異 

チロシンキナーゼ阻害剤ゲフィチニブの効果が期待できる 

 

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