8月2日より8月5日までカナダのケベック市に滞在し、表記の会議に出席した。
今回は、Digital Pathology(DP)の第一回の国際会議であり、会長をハーバード大学MGHの八木由香子先生が努められ、世界18カ国から100余名の参加者があり、大成功であった。
ケベック市は、茹だる様な東京とガラッと変わって、涼しくすがすがしいところであった(写真:中央に見えるのがお城)
日本からも、病理医、基礎研究者、企業など多方面の方々が出席された。行きは、シカゴで飛行機を乗り継いでケベックに入ったが、乗客約60名のうちかなりの日本人がおられ、その多くの方々を会場で見かけた。発表も、開発、応用、機器の提示など、多岐にわたっていた。多くの素晴らしい報告があったが、(1)カナダでの病理医不足の解消のため、国策として病院間のDPの導入(Dr.Tetu)、(2)College of American Pathologists CAPがDPのValidation guidelineを作製し、パブリックコメントを求めている点(Dr. Evans)に注目した。前者は、ケベック市を中心に行われQuebec Projectと呼ばれHamamatsu Photonicsが採用されている。トロントでも、大学中心に病理医を集約してDPを活用する方策がとられており、こちらはGE Healthcareが参画している。後者は、CAPのホームページで全体を見ることができる。近い将来には、FDAも病理診断のPrimary diagnosisを認可する方向にあると聞いている。2020年と目されている病理診断の全面的なdigital化も予想以上に加速が早いかもしれない。我が国ではVirtual microscope(VM)で一般化している機器も、国際的にはWhole Slide Imaging(WSI)と呼ばれることが多くなっている。
会長の八木由香子先生も、講演に、座長にと大忙しであったが、終始笑顔を絶やさず立派に会長を務められた。先生のご講演もMGHでの基礎から応用への取り組みを分かりやすく話され、感銘深いものであった。心よりお祝いを申し上げたい。
企業からの講演、展示も大変多いのが本学会の特徴であった。機器の展示としてはオリンパス、Philips, 浜松ホトニクスなど広く知られている企業Vendorとともに、Sakura Finetek USA(SFA)(Torrance CA)から、Digital imageとLive Imageを双方同時に操作できる機種のプロトタイプが展示されており注目された。また、カナダOntarioにあるHuron Technologiesからは、マウスなどWhole bodyのWSIの機種が展示され研究者には魅力的なものであった。ソフトの方も、多く開発がなされ、NECからはe-Pathologistで画像解析ソフトが、またソニーからは、画像の操作Controllerが披露され、わが国の技術が注目された。私は、Digital Pathology in Asiaと題して講演させていただいたが、これまで私が日頃親しくしているアジアの病理医から聴取したアジアでのDPの現状を紹介し、今年度経産省と国際医療福祉大学が手掛けているプロジェクト"コンソーシアムによる遠隔診断"によるアジア医療支援をお話した。アジアも急速にDPに向かって興味が集中してきており、わが国の貢献も大いに期待されている。
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