3年生以上になっておられる学生諸君は、病理学Pathologyを学ばれたことと思います。
はじめに疾患を"肉眼、顕微鏡像"などで学ばれたことでしょう。病理学の何に興味を持たれましたか? 癌細胞は、不揃いで核が大きい!なぜでしょうか?
ここでは、諸君が学んでいる病理学が実際の医療にどのように生かされているかをお話ししたいと思います。ホームページでは、病理学の中には、組織診断、細胞診断、迅速診断などがあるとお話ししています(まだの方はお読みください)。この診断はをする医師を病理専門医と言って日本病理学会が認定しています。臨床研修の後、4年間の病理診断にかかわる専門教育を受けて認定試験に合格して病理専門医となります(病理医ともいわれます)。以下の2点が大切です。
1.病理診断科は厚生労働省の認める診療標榜科(病院の看板に他の診療科と一緒に掲げる)である。
2.病理診断には、病理専門医による診断体制が出来ている病院には、病理診断に対し診療報酬が国から支払われる。この際に、プレパラート(組織切片の載ったガラススライド)の標本作製に対しても、診断料とは別に支払われる。この2点が、いわゆる検体検査(尿、血清など)から分離され、支払い項目第13部「病理診断」となった。
この2点が整備されたのが、2008年です。現在更に、その環境整備が進んでいます。
この2点が整備されたことにより、病理医の立場も確固たるものとなり、病理医を雇用する際の病院へのモチベーションにもつながることになりました。
学生時代に興味を持った病理学に対し職業としての受け皿が出来たことが極めて大きいと思います。多くの医学部で、高学年の医学部学生に、病理診断の病院実習クリニカルクラークシップのカリキュラムが組まれています。私がここで、短く述べたことを是非実感して下さい。
何事にも"なぜか"の疑問と興味を持って学ぶことは重要です。その興味を、病理診断の実力に反映させて、病理医として医療の一端を担うことは素晴らしいことと思いませんか?
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