2017年7月アーカイブ

WHO内分泌腫瘍分類第4版が626日にリリースされた。

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Ricardo Lloyd, Gunter Kloppel and Juan Rosaiと一緒にVolume editorを務めたこと大変光栄に思っている。昨年の4月にフランスのリヨン市において合宿形式で最終案を作成してからあっという間に1年以上が経過してしまった。チャプターとして下垂体pituitary, 甲状腺thyroid, 副甲状腺parathyroid, pancreas, 副腎皮質adrenal cortex, 副腎髄質および副腎外パラガングリアadrenal medulla and extra-adrenal paraganglia など臓器別の腫瘍の他遺伝性腫瘍症候群the inherited tumor syndromeに分かれて詳細が述べられている。

前回の出版が2004年であったので、すでに13年たっている。この間に各腫瘍についての臨床的および病理学的な知見も著しく増加した。治療も分子標的治療を含めて新たな試みがなされている。また各腫瘍の遺伝的な背景も解明され遺伝子に関する記載も著しく増加した。

このように各臓器にて新たな知見をベースにまとめられた今回のWHO分類がいち早く浸透することを願っている。

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622日から24日まで仕事でLAに滞在した。

いつものごとく夜のJazz liveを探した。

Catalinaという場所でRoberta

 Gambariniが出演していることがわかり早速予約を入れた。

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Robertaはイタリア出身のJazz singerで私もCDを何枚か持っており、好きなsingerの一人である。食事が終わり暗くなっていよいよと開演である。

テンポの速い曲が多く、我々聴衆とのアドリブの掛け合いも楽しいものであった。

とにかく声域が広く声量がすごい。

見事なパフォーマンスであった。

途中で歌ったI'm a fool to want youは圧巻であった。

この曲はBillie Holidayが何回も録音した名曲である。Robertaの歌唱力でじっくりと歌い上げたこの曲は素晴らしいもので、感激で涙があふれた。

Jazzに感動すること人生の喜びと言えよう。

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616日より18日まで中国西寧市Xiningにおいて第15回全国細胞病理学会が開催された。Chinese Association of Cytopathologyの会長であるDr.Dong Ge Liuの招きで訪中し、

特別講演: Pancreatic Neuroendocrine Neoplasms(PanNEN) in WHO Tumor Classification of Endocrine Organs 2017:Update of Pathology and Challenges of Cytopathology. を行った。

私のほかに、海外からの演者は Ritu NayerBethesda Systemの講演を行った。

他の演題は当然のことながら中国語で行われたが、スライドの漢字をフォローすると可成りの部分が私なりに理解できた。

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西寧市は、海抜2,275メートルの高さにある高山地帯である。

イスラム教徒もいるが、多くは仏教徒である。

インドから中国を経て我が国に伝わった仏教は、偶像崇拝も含めて現在の日本の仏教とは異なる感じがした。

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424日から27日までインドネシアのバリ島; Bali Nusa Dua Convention Centerにて第10回のAsia Pacific IAP Congressが開催された。

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本学会は、IAPインドネシア支部との共催であり、また第12APSMIも同時に並行して開催された。インドネシア、アジア諸国はもとより、ヨーロッパおよび米国などからも参加者があり大盛会であった。

学会では、以下のシンポジウムで講演をした。

Endocrine pathology:

WHO Classification 2017of pituitary adenomas: What do we need to update?

Cytopathology:

The applications of immunohistochemistry and molecular pathology to cytological

Specimens from the lung tumors

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APSMIにおいては、友人の米国南カリフォルニア大学のDr. Clive TaylorAnthony Leong Memorial Lectureの講演を行った。Tony Leongは私およびJiang GuとともにAPSMIの創設者の一人であり、第9回のAPSMIKuala Lumpurで主催した直後に残念ながら急逝した。Tonyの病理学および免疫組織化学への情熱passionは今でも深く記憶に残っている。第11APSMITaipei)では私がAnthony Leong Memorial Lectureを担当させていただいた。

 

4月とはいえ、現地は、すでに真夏の暑さであった。余暇を見て山岳地帯へ行ってみたが湖を含む眺望は素晴らしいものであった。Nusa Dua Beachは数キロにおよぶ遠浅であり、海水浴を楽しむことはできなかったが、Beachの近くにいることの"うれしさ"を感ずる毎日であった。

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盆の入りの713日にちなんで日頃思っていること、、、

3か月ほど前、仕事から帰り熱い湯で顔を洗うとなにかホッとすることに気が付いた。

なんとなく心が休まるのでそれから毎日欠かさず行っている。

理由は定かでないが、幼い頃の "あること" を思い出す。

小学校低学年当時母が大病して入院しており私は父と二人暮らしであった。

当時の日本では多くの人が風呂は銭湯に行っていた。

銭湯に行けない日は、寝る前に父が湯を沸かし、熱いタオルで私の顔を拭いてくれた。

何とも言えず安心する時間であったに違いない。

熱いお湯で顔を洗うとき"ほっと安心する"のは、この父のぬくもりのなせることと感じる。

 

私は、自分の性格が普通であると思う反面、ユニークな面も強くあるのではないかと思うことも多く、そして時に悩む。

これも最近気づいたが、幼い頃の "あること" を思い出す。

中学に入って1年が経とうとしたころ、私の成績はだんだん下がっていた。

当時は人生の方向付けもなく、焦点が絞られないまま、成績を上げるべく努力していた。

ある日、母が学校から呼び出しを受けて、担任の先生と面談した。

私はきっと成績不良を母が責められて、さぞ機嫌が悪いのではないかと密かに心配していた。

帰ってきた母は意外と機嫌がよく一言だけ "先生からユニークな子供だ" と言われたと目がほほ笑んでいた。

密かに自分の "考え方・行動" が他人と少しずつ違うのではないかと心配していた私は "先生が私の特徴をよく見てくれたこと" とともに 母が "私のユニークさに喜びを感じた" ことが、この上なく嬉しかったことが記憶の隅から呼び起こされた。

この "寛容のほほ笑み" が私のその後の人生に大きな影響を与えたと考えられる。

 

いずれのことも、この年になって改めて思い出され713日の彼岸の入りに父母から受けたちょっとした温もりを思い出せることは幸せである。