2012年9月アーカイブ

分子病理診断室・テレパソ室を備えた"Dream lab"への道 

 

新三田病院.jpg 213日より国際医療福祉大学三田病院は新病院がオープンした。

 

病理診断 自動化 (3).jpg 

病理診断センターは、6階に手術室と隣接しており理想的なロケーションと言える。

従来 染色など多くのステップを機械化してきているが、業務の進行具合に併せて、迅速包埋装置Xpressも活用し、One-day-pathologyも進める予定です。

 

 

 

これまで、大変狭い限られたスペースで進めてきた分子病理診断室も充分なスペースを確保して業務を拡充しつつあります。

HER2, EGFR,KRAS,KIT,BRAFなどの遺伝子診断行っています。

 

分子病理診断 (2).jpg  分子病理診断new (2).jpg  

 

  また、国際医療福祉大学・高邦会グループとして遠隔病理診断にも大変関心を示しており、"テレパソ室"も設置しています。

  テレパソ室new.jpg    テレパソ室内部 (2).jpg

 

  

  

 

 

 

 

三田病院での病理診断センターは、グループの山王病院、山王メデイカルの病理診断も担当しており、年間の検体数は、組織診断10,000件、細胞診断22,000件になり、3名の常勤病理医(長村、森、相田)および非常勤病理医で担当しています。

 

病理診断センターの見学を御希望の方は...

 

三田病院病理部(病理診断センターのホームページ)

このたびメディカル・プリンシプル社より刊行されましたドクターズマガジンに「病理医としての私」が取り上げられております。

Doctor's MAGAZINE 表紙_0001.jpg

 

私のライフストーリーとしてお読みいただければ幸いと存じます。

これを機会に更に研鑽を重ね、更に皆様のお役に立ちたいと思っております。

 

本文は 1209ドクターの肖像.pdf

「メディカル・プリンシプル社ドクターズマガジン20129月号掲載」

 

スウィング・ジャパン:日系米軍兵ジミー・アラキと占領の記憶

                  秋尾沙戸子著 新潮社 を読んで

 

本書は、日系帰米二世James Tomomasa Araki -Jimmy Araki- の生い立ち、戦時中の収容所でジャズを覚えたこと、戦後の日本に駐留して日本のジャズマンに多いなる影響を与えたこと、帰国してハワイで日本文学を研究し学部長になり文学に生きたについて、念入りな調査をもとに、極めて当時のアメリカ、日本の様子および人々の気持ちが手に取るようにわかるように書かれている。極めて読みやすい。

 

本書の前半は、戦前、戦中、戦後を通して米国在住の日本人の苦労など手に取るように理解できるように史実を反映して、詳細がつづられている。私は、一ジャズファンとして、本書を読み、如何にしてアラキがジャズを演奏するようになり、わが国でどのようにして演奏家を育て(影響を与え)、またジャズ一流プレーヤーのどのような経緯で(心境で)文学者としての人生を選び大成したのか、など興味を持って読んだ。

米国、日本で非常に有名なジャズマンの名前が沢山出てきて、それだけでも親しみを覚える。

アラキは、最初に楽器Jazzを演奏し始めたのは戦中の収容所内と書かれている。

ピアノ、サックスその他多くの楽器を自由にこなす、私から見れば"天才"と思われる。

本格的にJazzを聞いたのは、19453月ニューヨークでチャーリーパーカーを聞いた時とされる。

デイジー ガレスピー、マイルスデービスなど なじみの名前が続々と出てくる。そのJazzの技術、センスを持って、戦後の荒廃した東京に米軍の一員として駐留して日本のジャズマンを育てた。勿論本職はニセイリンギスト(日本を駆使できる二世)として膨大な事務作業をしたのである... 日本での有名なジャズマンの名前が数多くでてくる、南里文雄、松本英彦、ジョージ川口、ティーブ・釜萢、日野皓正など、、わが国での多くのジャズマンに影響を与えたことは、ジャズファンとして感慨深い。

 

周囲は、米国へ帰国後パーカーとジャズを演奏する人生を送ると思われたが、日本文学それも中世の幸若舞に興味を持って論文を書いてその分野の第一人者となる。その業績でハワイ大学文学部の教授、学部長としてアカデミズムの人生を送る。川端康成、三島由紀夫とも親交があった。

 

秋尾沙戸子氏の素晴らしい文章と話の進め方のうまさで、引き込まれて読んだが、数奇な運命をたどりながら、ジャズと日本文学に生きた"天才"の生涯に"日米にまたがる人生"を"ステキに"生きた男のロマンを充分に感じることが出来た

2012826日~29日に京都国際会議場で開催された第14回国際組織細胞化学会議において永年の組織化学における功績と国際的な指導力が評価されPaul Nakane Prizeを受賞した。

Paul Nakane(中根一穂)教授は、酵素抗体法の創始者であり、米国[スタンフォード大学、ミシガン大学、コロラド大学]で研究活動にて大いに業績をあげた国際的なレベルでの組織化学の発展に指導的役割を果たされた。  Paul Nakane教授と.JPG

 

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Paul Nakane Prize2004年の第12回国際組織細胞化学会議に設定され、今回が3回目となる。

私は、1970年慶應義塾大学医学部を卒業後直ちに渡米し、コロラド大学医学部メデイカルセンターにて病理レジデントおよびリサーチフェローとしてPaul Nakane(中根一穂)教授の指導を受け、酵素抗体法を習得し、帰国後も下垂体腫瘍の研究および病理診断においてこれまで多くの業績を発表してきた。また2008年からは、国際組織細胞化学会連合IFSHCの理事長として、組織化学の国際的な発展に努めている。

中根教授から直接指導を受けて以来、早くも40年以上経過したが、今回指導者の名前を冠したPaul Nakane Prizeを受賞し無上の喜びと感じている。

 

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Paul Nakane Prize楯.JPG

14th  International Congress of Histochemistry & Cytochemistry(ICHC) Kyotoに出席して ICHC2012抄録.jpg

826日から29日まで、京都国際会議場において、表記の国際学会(高松哲郎会長)が開催された。

わが国で開催されたのは、3回目(1972, 1996, 2012)であり、いずれも京都であった。

今回も、28か国より総計約600人が参集して、組織化学の発展を論じた。

私は、各国で組織化学会の連合体であるInternational Federation of Societies for Histochemistry and Cytochemistry(IFSHC)の理事長として、学会開催を積極的に支援し、成功裏に終了したことは、極めて嬉しく、日本組織化学会としえも誇りとすべき学会と言える。

 

26日には、開会式の中で、Dr. Moise Bendayan "Gastric leptin: From immunocytochemistry to clinical application"Dr. Jennifer Lippincott-Schwartz "Navigating the cellular landscape with new optical probes, imaging strategies and technical innovations" によるDavid Glick Award Lecture が行われた。いずれも記念講演に相応しい素晴らしい内容であった。2728日および29日午前中にかけてPlenary Lecture9題、Symposium 19題、Workshop8題が開催された。基礎的な生命現象、癌などの病態の解明などに生かされている組織化学の技術的発展につき連日ホットな議論が繰り広げられた。

 

私は、2716:20-18:20 Symposium 8 の座長と講演を行った。

Development and function of endocrine (cancer) cells

Chairs: R.Y. Osamura (Tokyo, Japan)  S.A. Camper (Ann Arbor, USA)

S8-1 Pituitary gland development and function: Stem cell biology and roles of β-catenin

Sally A. Camper (Ann Arbor, USA) (30 min)

S8-2 Molecular insights into the benign nature of pituitary tumors

Vera Chesnokova (Los Angeles, USA) (30 min)

S8-3 Identifying the sites of aldosterone production in human adrenal and its disorders: recent progress  Hironobu Sasano (Sendai, Japan) (30 min)

S8-4 Pathobiology and Histochemistry of Neuroendocrine Tumors (NET): Diagnosis, prognosis and therapy  Robert Y. Osamura (Tokyo, Japan) (30 min)

内分泌細胞と分化、腫瘍などの視点から大変興味ある討論が行われた。

 

ICHC2.JPGのサムネール画像

27日の夜は、バンケットで交流を深め、29日午後は エクスカーションで西陣織の実演や、清水寺を参拝して楽しんだ。

29日の閉会式では、全員が、4年後のトルコのイスタンブールでの再会を期した。

 

 

 

 

また、初日の開会式において、私がPaul Nakane Prizeを受賞したが、永年ご指導いただいたPaul Nakane(中根一穂)教授から直々に賞をいただく栄誉に浴することができた。極めて光栄なことと心より感謝しています。