昨年12月初旬に、一週間USCに滞在し、1年生(良く知られるように、米国では皆学士入学者である)での病理学教育に臨床教授Clinical Professorとして参画した。米国では、日本と異なり、"病理医不足"は余り声だかには、叫ばれていない。私の経験でも、興味ある症例を"病理学"という立場で見る、医療の中で、病理医Pathologistsが担う役割が明確にされている、給与が良い、night callがない、などの利点に魅力を感じて病理医になる医学部卒業生も多い。私のホームページでも書いたが、病理医の活躍する場所が、大学での病理診断科、病院での病理診断科、個人の開業(グループで病院内で)などその形態も多彩である。そのような背景の米国医学部での病理学の教育は、私のスキルを試すことと、米国での教育システムを我国の教育に生かすようフィードバックすることに興味を持った。
学生は一学年140名以上、私は腫瘍Neoplasiaを他の教員(全部で7名)と一緒に担当した。
教育の仕組みは、以下の通りである。Neoplasiaは全部で4回行われる。
午前8時 担当教員打ち合わせ Neoplasia責任者からの教材Website説明
午前9時―10時 Neoplasia責任者による全体講義
Didacticな講義でRobbinsの教科書を主体にかなり詳細の講義を行う
講義資料は、Websiteで見ることが出来、講義中にもPCを見ながら聞いている学生もいる。配布資料などはない。
午前10時―12時 7グループに分かれてtutorによるCase study あらかじめ担当者がWebsiteに挙げてある教材を用いて症例を学生が説明する。「Any volunteer?」と言うと学生がどんどんと進めて行く。その後で同じWeb教材に説明をいれた資材でtutorが説明する。我国に比べて学生からの質問が多くinteractionをしている間に時間が過ぎて行く。学生の理解を深めながら進む工夫がいる。特に、USCの場合は一年次に病理学を教育することになるので、形態学の理解の確認が重要となる。
ちなみに、学生は全て学士で平均年齢は26歳とのことであった。
出席は講義もcase studyも取らない。学生はWebsiteで予習復習が出来る。午後は、自由な時間として学生にゆだねられている。Case studyも自分の好きなグループに加わることが出来るので、教員も学生を維持して行くべくモチベーションがかかる。
米国では、教育効果を挙げるべく工夫がなされている。